【ガレージロック・リバイバル、ポストパンク・リバイバル名盤アルバム16枚紹介】
どうも。文系大学院生のandrewjacovsです。今回はガレージロック・リバイバル・ポストパンク・リバイバルの私が思う名盤を紹介していきます。そもそもガレージロック・リバイバル、ポストパンク・リバイバルとは何かというと、2000年代に起こった音楽のムーブメントの一つです。具体的に言えば、60年代・70年代のロックンロール、もしくは80年代のポストパンクの復興運動です。1990年代はグランジとオルタナの時代でした。この90年代に対する反動として巻き上がったのが、ガレージロック・リバイバル、ポストパンク・リバイバルです。両者は基本的に同じ運動を指しているといってかまいませんが、バンドによってリバイバルを試みている時代が異なるように思える点が面白いところです。ガレージロック・リバイバル、ポストパンク・リバイバルの具体的な特徴は
・楽器に対するミニマリズム・・・・・・非常に少ない種類の楽器のみを用いる
・メロディーに対するミニマリズム・・・単純なリフやコードの使用。
・原点回帰ともいうべきファッション・・革ジャンやスーツといった黎明期の服装
といったところでしょうか。私自身、大学2年や3年生のときにリバイバルにとてもハマったので、思い出を整理する意味でも、名盤を紹介していきたい!
【名盤紹介】
〈1〉Is This It(2001)- The Strokes
1. Is This It(2:31)
2. The Modern Age(3:28)
3. Soma(2:34)
4. Barely Legal(3:55)
5. Someday(3:04)
6. Alone Together(3:09)
7. Last Nite(3:14)
8. Hard to Explain(3:44)
9. New York City Cops(3:31)
10. When It Started(2:55)
11. Trying Your Luck(3:23)
12. Take It or Leave It(3:16)
※赤字はおすすめ曲
リバイバル・ムーブメント初期の一枚。The Strokesの1stアルバム。全曲おすすめにしたいほど大好きな曲しかない。00年代であるが、現在の世界の状況を踏まえて歌っている感じがする。非常に刹那的で生き急いだ楽曲、という感じ。世界には多くの金持ちがいて、人々の生活の水準も上がり、便利になったけれど、やはり我々の人生には何かが足りない。我々の人生には何かが足りないと考えてしまうほど多くすぎる時間が与えられているが、何かを人生でなすには少なすぎる時間しか与えられていない。そういった思いを20そこそこの若者たちがメロディーで語っている(気がする)。
音楽的な特徴としては、音域の使い方が非常にうまく、音域のすみわけができている。ギター2本とベース、ドラムとヴォーカル。どれも大きすぎる音ではないのに、すべての楽器の音が分かれてしっかりと響いてくる。アルバート・ハモンド・ジュニアのポップセンスあふれるギターリフの上にジュリアン・カサブランカスのしゃがれた特徴的な声が重なる。聴きやすいギターのリフが多く、曲のテンポもよい。3分程度の楽曲が並んでいるため、アルバム全体もよいテンポ。
彼らはニューヨーク出身の若者である。ロックンロールはイギリスのものであったが、実はリバイバルはアメリカから始まったというのが面白い点でもある。
〈2〉Elephant(2003)- The White Stripes
1. Seven Nation Army(3:52)
2. Black Math(3:04)
3. There's No Home for You Here(3:44)
4. I Just Dont Know What to Do With Myself(2:46)
5. In the Cold, Cold Night(2:58)
6. I Want to Be the Boy to Warm Your Mother's Heart(3:21)
7. You've Got Her In Your Pocket(3:40)
8. Ball and Biscuit(7:19)
9. The Hardest Button to Button(3:32)
10. Little Acorns(4:09)
11. Hypnotize(1:48)
12. The Air Near My Fingers(3:40)
13. Girl, You Have No Faith In Medicine(3:18)
14. Well It's True That We Love One Another(2:43)
※赤字はおすすめ曲
こちらもアメリカのロックバンドThe White Stripesです。デトロイト出身で、デルタ・ブルースをルーツにしています。デルタ・ブルースとはブルースの中で特に少人数でわかりやすいジャンルのことらしいです。このThe White Stripesのすごい点はバンドメンバーが2人しかいないところ。ギター・ヴォーカルのジャック・ホワイトとドラムのメグ・ホワイトの二人だけです。ジャック・ホワイトはベースの音域も使えるので、非常に低い、独特な音をギターで出すことがあり、そこもまた面白いです。半ば無理やり出している音もありますね。ドラムのメグ・ホワイトはジャック・ホワイトからドラムを習っており、決してうまいとは言えないドラマーです。多分そこら辺の大学生の方が上手い。でも、The White Stripesのタイム感を引き出しているのは間違いなくメグですね。デイヴ・グロールも彼女のことを絶賛してました。走りまくるあのドラムが何とも言えない味を出してますね。で、実はこの二人は元夫婦であることが分かっています。兄妹という設定でやっていたのですが、二人の離婚届がネットにアップされてました。
The White Stripesのアルバムはどれも素晴らしいもので大好きですが、このアルバムが一番一般的に評価が高いのでこのアルバムを紹介しました。彼らの4thアルバムです。冒頭の"Seven Nation Army"はサッカーの試合でよく使われてますね。5曲目の"In the Cold, Cold Night"は珍しくメグ・ホワイトが歌っている曲です。長短織り交ぜた楽曲が続きます。やはり特徴はジャック・ホワイトの声。素晴らしい。彼にしか出せないハイトーン・ヴォイスですね。上手い下手とかではかれる次元ではないです。ジャケ写もかっこいい。
〈3〉De Stijl(2000)- The White Stripes
1. You're Pretty Good Looking (For a Girl)(1:51)
2. Hello Operator(2:36)
3. Little Bird(3:07)
5. I'm Bound to Pack It Up(3:10)
6. Death Letter(4:30)
7. Sister, Do You Know My Name?(2:52)
8. Truth Doesn't Make a Noise(3:15)
9. A Boy's Best Friend(4:22)
10. Let's Build a Home(1:58)
11. Jumble, Jumble(1:54)
12. Why Can't You Be Nicer to Me?(3:22)
13. Your Southern Can Is Mine(2:32)
※赤字はおすすめ曲
このアルバム紹介しようか迷ったんですよね。一般的にはThe White Stripesは3~6枚目がいずれも評価が高いんですけど、この2ndアルバムが私は好きなんですよね。リバイバル名盤紹介、といっているから一般的に評価が高いのをメインにしようと思ったんですけど、それでも私が記事を書く以上、私自身が思う名盤でいいのかな、という気がしてきたので、まあいいや!って感じで紹介します。ちなみにThe White Stripesは黒と白と赤でジャケットやライブの衣装が構成されています。このアルバムも例に漏れずです。
私がこのアルバムが好きな理由は、これが一番哀愁が表現されているアルバムだからです。勢いやノリのよさ以外の、ソングライティング能力をジャック・ホワイトが持っていることを証明しているアルバムですね。"Apple Blossom"のメロディーが持つやるせなさは絶品ですし、"Death Letter"で、信じられない暗い気持ちをあえてポップなメロディーに乗せて歌っているあたりもかっこいいですね。リバイバルという意味でも、一番70年代の雰囲気を良く表わしている気がしますね。反対に言えばオリジナリティは少ないかもだけど。
〈4〉Whatever People Say I Am, That's What I'm Not(2006)- Arctic Monkeys
1. The View from the Afternoon(3:38)
2. I Bet You Look Good on the Dancefloor(2:54)
3. Fake Tales of San Francisco(2:58)
4. Dancing Shoes(2:21)
5. You Probably Couldn't See for the Lights but You Were Staring Straight At Me(2:11)
6. Still Take You Home(2:54)
7. Riot Van(2:15)
8. Red Light Indicates Doors Are Secured(2:24)
9. Mardy Bum(2:55)
10. Perhaps Vampires Is a Bit Strong But...(4:29)
11. When the Sun Goes Down(3:20)
12. From the Ritz to the Rubble(3:13)
13. A Certain Romance(5:31)
※赤字はおすすめ曲
今まで見てきた2つのバンドは「第一世代」ともいうべき、リバイバル・ムーブメントの火付け役ですが、このArctic Monkeysは「第二世代」のようなものですね。アメリカでの盛り上がりがイギリスに伝播した結果、登場したバンドですね。本人たちもThe Strokesにあこがれてバンドを始めたといっていました。これはArctic Monkeysの1stアルバムですが、平均年齢19歳で作ったアルバムです。このアルバムがイギリス中で話題になり、バカ売れしました(たしかダブルミリオンくらい売れてたはず)。世相的にもオアシスがもうほぼ終わりに近づいていて、次の若手アーティストをイギリスが求めていたらしいですね。
ヨレヨレのTシャツを着たさえないやつらが、これだけ痛快で乗れてポップな曲を弾きまくるというのは、最高ですね。しかも、イケていないことを半ば誇りに思ってそうなところがよい。2曲目の"I Bet You Look Good on the Dancefloor"なんて、普通に考えたらおかしいわけですよ。イケてる奴ならダンスフロアに行って、女と出会うわけです。なのに、この曲では「ダンスフロアだったら君はイケてるに違いないよ」とか歌うわけです。だから、自分がダンスフロアに行ったことないけど、精一杯の強がりで、自分の日常生活で出会う女に「ダンスフロアならイケてるよ」と玄人ぶっていうわけです。雑魚感満載で最高ですね。
音楽的には、1曲が非常に短い。今までの2バンドに比べても短いですね。物足りなさを感じることもありますが、展開がスピーディーで飽きないといえば飽きない。
〈5〉AM(2013)- Arctic Monkeys
1. Do I Wanna Know?(4:31)
2. R U Mine?(3:22)
3. One for the Road(3:26)
4. Arabella(3:27)
5. I Want It All(3:04)
6. No. 1 Party Anthem(4:03)
7. Mad Sounds(3:35)
8. Fireside(3:01)
9. Why'd You Only Call Me When You're High?(2:41)
10. Snap Out of It(3:13)
11. Knee Socks(4:18)
12. I Wanna Be Yours(3:04)
※赤字はおすすめ曲
Arctic Monkeysの5枚目のアルバム。Arctic Monkeysは非常に変化の速いバンドで、1枚目で売れた後、ソッコーで路線を変えて色々出しました。2枚目は比較的良く、3、4枚目はやや微妙かな、という感じですかね。そんな中、この5枚目のアルバムはArctic Monkeys史上もっともよいアルバムです。ただ、難点は、もはやこれはリバイバルではないということ。だから、ここで紹介するのはホントは間違ってるんでしょうけど、まあ許して。Arctic Monkeysがリバイバル出身だからセーフってことで。年代的にもこれは2013年の作品で完全にリバイバルは終わってますね。ローファイでもなく、かなりハイファイです。でも、彼らの特徴のかっちょいい、人を引き付けるリフは超健在だし、むしろパワーアップしてる。そして、特によくなったのは音ですね。音域が1stや2ndに比べて意図的に開けられてますね。その結果、音一つ一つに緊迫感があり、静けさの中でリフがカッチョよく鳴り響く、という構図になってます。高い声のコーラスも効果的ですね。1曲目の"Do I Wanna Know?"や2曲目の"R U Mine?"の高い声コーラスは素晴らしい。あと、リフのよさで言えば10曲目の"Snap Out of It"と11曲目の"Knee Socks"が特にいいと思います。
〈6〉Franz Ferdinand(2004)- Franz Ferdinand
1. Jacqueline(3:49)
2. Tell Her Tonight(2:18)
3. Take Me Out(3:57)
4. The Dark of the Matinee(4:03)
5. Auf Achse(4:20)
6. Cheating On You(2:37)
7. This Fire(4:15)
8. Darts of Pleasure(3:00)
9. Michael(3:21)
10. Come On Home(3:46)
11. 40 Ft(3:24)
※赤字はおすすめ曲
続いてはこれもまた「第二世代」と呼ばれるべきバンドである、フランツ・フェルディナンドです。スコットランド出身のバンドでこのアルバムが1stアルバムです。
実は、私はフランツ・フェルディナンドは苦手なんですよね。赤字が少ないのはそのためです。それでも、リバイバルとしてはやはり外せないアーティストなので、紹介しないわけにはいきませんね。他のリバイバルと違って、ディスコ感が強くて、踊る音楽って感じです。本人たちも「見た目が悪い自分たちが女を踊らせたかった」といってるし、自覚的にやっていると思いますね。これは80年代のリバイバルと考えていいと思います。なので、ある意味ポストパンク・リバイバルとしては正当なアーティストです。バカっぽいけど踊れて楽しい音楽です。
研究室の先輩はダダイズム的なバンドだといってましたね。たしかに韻の踏み方とかを見ると、ダダイズム的なのかもしれません。
〈7〉Up the Bracket(2002)- The Libertines
1. Vertigo(2:39)
2. Death On the Stairs(3:24)
3. Horror Show(2:35)
4. Time for Heroes(2:40)
5. Boys In the Band(3:42)
6. Radio America(3:45)
7. Up the Bracket(2:39)
8. Tell the King(3:24)
9. The Boy Looked at Johnny(2:38)
10. Begging(3:20)
12. The Good Old Days(3:00)
13. I Get Along(2:53)
※赤字はおすすめ曲
続いては、ロンドンのリバイバルバンド、The Libertinesの1stアルバムです!The Libertinesの特徴は、他のリバイバル勢に比べて、インディー感が強い点ですかね。演奏も非常のローファイで、若干雑なところがあります。そのせいか、60年代リバイバルな感じがしますね。The StrokesやArctic Monkeysに比べて、洗練されていない、もっと前の時代を意識している気がします。ロックの原初の衝動といってもいいかもしれません。ヴォーカルが二人いて、一曲の中で交互に歌ったりするのも楽しさの一つです。
ポップなメロディーの中に哀愁を漂わせるのが上手いバンドですね。2曲目の"Death On the Stairs"や4曲目の"Time for Heroes"はそのよさが際立った楽曲ですね。あとは、コーラスがきれいじゃなくていい。非常に粗雑なコーラスなので、整理されていない複数の声が聞こえてくるのが、インディー感をかきたててくれます。ジャンルは違いますがPavementみたいなコーラスです。7曲目の"Up the Bracket"や9曲目の"The Boy Looked at Johnny"はまさにそのコーラスが効いている曲です。
〈8〉Highly Evolved(2002)- The Vines
1. Highly Evolved(1:34)
2. Autumn Shade(2:18)
3. Outtathaway(3:03)
4. Shunshinin(2:44)
5. Homesick(4:53)
6. Get Free(2:07)
7. Country Yard(3:46)
8. Factory(3:12)
9. In the Jungle(4:16)
10. Mary Jane(5:52)
11. Ain't No Room(3:29)
12. 1969(6:28)
※赤字はおすすめ曲
続いてはオーストラリアのリバイバルバンドのThe Vinesの1stアルバムです。今までアメリカ、イギリスと紹介してきましたが、オーストラリアにもいるんです。彼らも「第二世代」と呼ぶべきバンドで、非常に若いですね。たしかこのアルバムを出した時は高校生だったはずです。The Vinesを表するときによく言われるのは、「The BeatlesとNirvanaを足して2で割ったバンド」というものです。60年代の雰囲気を持ちながらも、90年代に強く影響を受けている点が非常にリバイバルの中では特徴的です。ギターの音もリバイバルの音というよりはむしろ、90年代のオルタナ、グランジの音に近い気がします。ヴォーカルのクレイグ・ニコルズの歌い方もポップというよりはハードコア的な「叫び」の要素を含んだものだと思います。その意味で、リバイバルに含めていいのかどうかは微妙なところだと個人的には思っていますが、一般的にはリバイバルに含まれるので紹介しました。
個人的にリバイバルに含まれる理由は独特の60年代感があるからだと思いますね。もっとちゃんと言うなら、60年代サイケからの影響があるように見えます。ガレージロックを直接的にリバイバルしているわけではないので、The Strokesとかと違いが出るのだと思います。そのサイケからの影響が、なんとも言われぬ60年代感として響いてくるのでしょう。
リバイバルの中では、ポップセンスよりも、生の怒りの声が響いてくるという点が特異なところですね。むき出しの感情をひずんだ音に載せてぶつけてくる、それが基本的なThe Vinesの魅力です。一方で6曲目の"Country Yard"のような美しいバラードを披露する側面も持ち合わせています。
〈9〉Veni Vidi Vicious(2000)- The Hives
1. The Hives - Declare Guerre Nucleaire(1:36)
2. Die, All Right!(2:46)
3. A Get Together to Tear It Apart(1:53)
4. Main Offender(2:33)
5. Outsmarted(2:22)
6. Hate to Say I Told You So(3:21)
7. The Hives - Introduce the Metric System in Time(2:06)
8. Find Another Girl(3:12)
9. Statecontrol(1:55)
10. Inspection Wise 1999(1:38)
11. Knock Knock(2:10)
12. Supply and Demand(2:27)
※赤字はおすすめ曲
続いては、スウェーデンのリバイバルバンド、The Hivesの2ndアルバムです。これは本当リバイバルを語る上で欠かせない一枚ですね。年代から見て分かるように、彼らはまごうことなき「第一世代」です。The StrokesとThe White Stripesが火付け役として注目されがちですが、スウェーデンにも早くからリバイバルをやってた人たちがいたんですね~。
このアルバムの特徴は、とにかくリフのゴリ押し。リフとノリで突っ切る。リフのキャッチ―さとフックの効き方はホントすごいですね。おそらくこれは彼らの出自に影響していると思います。The Hivesは1stアルバムを聴くと分かるように、もともとメロコアバンドだったんですね。だから、ドラムどこどこどこーっていうリズムに合うキャッチ―なリフを作ることになれていた。だからこそのリフへの自信だと思います。そんな中、ひときわ目立つのが8曲目の"Find Another Girl"ですね。キャッチ―な勢い爆発のリフではなく、南国感のあるゆるーいギターのフレーズを基調とした曲です。サザンロックていうのかな。ハワイのビーチで聞きたい曲です。
演奏も非常にうまい。音源とライブで質が変わらない。ダサい職人たちが奏でる、自身を持ったポップミュージック、それがThe Hivesですね。ヴォーカルのハウリン・ペレ・アームクヴィストの歌い方はミック・ジャガーを意識しているらしいですね。相当特徴ある歌い方です。
〈10〉Tyrannosaurus Hives(2004)- The Hives
1. Abra Cadaver(1:34)
2. Two-Timing Touch and Broken Bones(2:01)
3. Walk Idiot Walk(3:32)
4. No Pun Intended(2:21)
5. A Little More For Little You(2:59)
6. B is for Brutus(2:36)
7. See Through Head(2:22)
8. Diabolic Scheme(3:00)
9. Missing Link(1:56)
10. Love In Plaster(3:11)
11. Dead Quote Olympics(1:59)
12. Antidote(2:30)
※赤字はおすすめ曲
こちらもThe Hivesのアルバムです。大傑作の2ndの後、メジャーデビューを果たした3rdアルバムがこれです。前作同様、キャッチーなリフが作品を貫いていますが、本作の特徴は「オモチャ」のようなチープな音作りですね。アホっぽい、細かい電子的な音が作品を包んでいます。思い切った路線ですが、これがThe Hivesのリフとよくマッチして、オリジナリティを生んでいると思います。
曲の展開が急激に変わる曲もあり、聴いてて飽きないように工夫されていますね。特に5曲目の"A Little More For Little You"や6曲目の"B is for Brutus"は面白い展開を持つ曲です。
〈11〉Bring 'Em In(2002)- Mando Diao
1. Sheepdog(3:35)
2. Sweet Ride(2:04)
3. Motown Blood(2:03)
4. Mr. Moon(3:30)
5. The Band(3:16)
6. To China with Love(5:02)
7. Paralyzed(4:08)
8. P. U. S. A(2:38)
9. Little Boy Jr(2:55)
10. Lady (2:32)
11. Bring 'Em In(2:13)
12. Lauren's Cathedral(4:02)
※赤字はおすすめ曲
こちらもスウェーデンのリバイバルバンド、Mando Diaoです。このアルバムは1stアルバムです。グスタフ・ノリアンとビヨルン・ディクスクウォットという二人の作曲家が曲を出し合い、切磋琢磨することで完成した快作です。二人とも自分が作曲した曲は自分が歌う、という感じですね。
Mando Diaoの魅力は、メロディーが非常にポップでノリがいいところ(これ何回もいろなバンドで書いてる気がする)。ダンスホールで踊る音楽って感じですが、Franz Ferdinandが80年代のダンスホールなら、Mando Diaoは60年代のダンスホールって感じですね。どちらかというとガレージやR&Bからの影響が大きいように思われます。グスタフとビヨルンはビートルズからすごく影響を受けたとも公言していて、彼らの優れたポップセンスはここからきているのかもしれません。このアルバムは本当にどの曲をシングルカットしてもバカ売れ間違いなし、というくらいシンプルでノリのいい曲が続きます。二人とも歌い方が非常に艶っぽく、叫ぶところは叫んでいて勢いもあります。とにかく最高だから一度聞いてほしい。
〈12〉Leave Me Alone(2016)- HINDS
1. Garden(4:08)
2. Fat Calmed Kiddos(3:03)
3. Warts(2:36)
4. Easy(2:25)
5. Castigadas En El Granero(3:47)
6. Solar Gap(2:25)
7. Chili Town(3:17)
8. Bamboo(3:50)
9. San Diego(2:31)
10. And I Will Send Your Flowers Back(3:34)
11. I'll Be Your Man(3:18)
12. Walking Home(3:12)
13. Trippy Gum(4:33)
14. When It Comes To You(2:51)
※赤字はおすすめ曲
ここからは若干番外編ですね。普通はリバイバルにくくられないけれど、リバイバルとみなしてもいいのでは?と勝手に思っているバンドの名盤を紹介していきます。このアルバムはスペインのガールズバンドHINDSの1stアルバムです。イギリスやアメリカ、北欧で多かったリバイバルバンドですが、スペインにもこれほど素晴らしいアーティストがいるんですね~。HINDSはもはやポップスに近いかもしれませんが、それでも二人のヴォーカル、カルロッタ・コシアナスとアナ・ガルシア・ペローテ、の歌い方がロックだと感じさせてくれます。非常にパンチの効いたしゃがれた声を持っていて、非常にカッコよい。ポップセンスとロックはやはり対立しないのだ、ということを実感させてくれます。
また、生き方も非常に注目されているようで、周りの目や価値観にとらわれず、自由に生きているということが評価されているようですね。たしかにファッションも攻めていてかっこいいし。何よりスペインという場所はポピュラーポップミュージシャンが多い地域で、ロックはあまり栄えていないところなので、その中で古き良きガレージを体現している点は斬新さもあり、非常に面白い存在ですね。
〈13〉Songs of Innocence & Experience(2019)- DYGL
1. Hard To Love(2:46)
2. A Paper Dream(3:24)
3. Spit It Out(3:34)
4. An Ordinary Love(5:31)
5. Only You (An Empty Room)(4:57)
6. Bad Kicks(2:29)
7. Don't You Wanna Dance In This Heaven?(5:25)
8. As She Knows(4:21)
9. Nashville(5:27)
10. Behind the Sun(4:44)
※赤字はおすすめ曲
いよいよ来ました。日本のバンドであるDYGLです。DYGLの音楽性は非常に多岐にわたっていて、ジャンルでくくることはなかなかできませんが、本作はリバイバルといって差し支えないでしょう。2019年とかなり最近のアルバムですが、これは紛れもなくリバイバルの香りがするアルバムです。面白いのが、The Strokesの1stやArctic Monkeysの1stのような、リバイバルど真ん中名盤よりも、The Strokesの5thアルバムや6thアルバム、Arctic Monkeysの5thといった、リバイバル税の最近のアルバム、に非常に似たものを感じる点です。その意味で、「新時代のリバイバル」といってもよいかもしれません。ヴォーカルへのエフェクトのかけ方や、インディーロックへの接近といったってんが、具体的な要素だと思いますが。ちなみに、このアルバムをプロデュースしたのはThe StrokesのギタリストであるAlbert Hammond, Jrだということ。だからThe Strokesっぽさがあるんですね。
あとびっくりするのは、ヴォーカルの秋山信樹の英語のうまさですね。英語でDYGLは歌いますが、これはスコットランド訛りらしいです。自分で練習して、スコットランドの訛りを身に着けたそう。聴いてみればわかりますが驚きです。
〈14〉50回転ズのギャー‼(2006)- ザ50回転ズ
1. 50回転ズのテーマ(2:07)
2. マブイあの娘(2:02)
3. Thank You For Ramones(1:36)
4. ぬけがらロック(3:30)
5. The Ballad Of Iron Eyes Cody(The Mummies Cover)(2:07)
6. たばこの唄(1:52)
7. お前のせいだぜ(2:29)
9. 少年院のソナタ(1:41)
10. Kojikinotaisho(2:17)
11. 夢ならいいのに(2:37)
12. Ataigawaruinosa(4:34)
13. Saturday Night(BAY CITY ROLLERS Cover)(2:22)
※赤字はおすすめ曲
こちらも日本は大阪のロックバンド、ザ50回転ズです。彼らも一般的にリバイバルにはあまりくくられませんが、紹介したいのでします。だって悔しいんだもん。演奏力も高くて曲もよいのにあんまり知られてない。彼らはガレージロックとパンクからの影響がとても大きいです。今まで紹介してきたバンドはあまりパンクからの影響がないと思いますが、このザ50回転ズは非常に大きな影響を受けていますし、実際このアルバムはかなりパンク色の強いアルバムです。そのことは3曲目の"Thank You For Ramones"という曲名からもわかるでしょう。
ただ、パンク一色というわけではなく、非常に緩急のあるアルバムだと思います。曲の長さも短い曲と4、5分ある長めの曲がありますし、何より日本人にしかありえない音楽性があるのが特徴です。演歌や歌謡曲に非常をとても好んでおり、演歌や歌謡曲のエッセンスを含んだ曲が随所に配置されています。4曲目の「ぬけがらロック」や8曲目の「天王寺エレジー」がそういった楽曲です。また、12曲目の"Ataigawaruinosa"ではしっとりしたバラードを歌い上げており、多彩な側面を見せてくれています。勢いで突っ走っているようなバンドに思われがちですが、このアルバムの構成力、配置のバランスはもっと評価されていいと思っています。
カヴァーが2曲あるのも、ロックへの愛とリスペクトが明示的に表れていていいですね。特に13曲目の"Saturday Night"はまさに「土曜の夜!」って感じの素晴らしいカヴァーで本物を聴いたとき逆にがっかりしました。
彼らは非常に歌詞も面白く、見た目もトリッキーなのでコミックバンドと思われがちですが、そうではないと思います。むしろ「まじめにふざけている」とリスペクトを込めて言いたいバンドですね。高い演奏力と息の合ったアンサンブル、そしてソングライティングのセンスと音楽史の深い理解。そういったものが交錯してできた大傑作アルバムだと思います。
〈15〉Faust C.D.(2008)- 毛皮のマリーズ
1. おはようミカ(4:35)
2. 人生(2:38)
3. ハートブレイクマン(2:16)
4. 非・生産的人間(1:51)
5. ジャーニー(4:51)
6. ライデイン(愛と笑いのロード)(2:59)
※赤字はおすすめ曲
こちらも日本のバンド、毛皮のマリーズです。毛皮のマリーズは解散してしまいましたが、非常に質の高い作品を出し続けた素晴らしいバンドで、その活動は多岐にわたってきました。ヴォーカルの志磨遼平は非常に音楽に詳しく、ロックンロール愛好家と自称しており、その豊富な知識を生かして、様々なバンドのオマージュをアルバムごとに行ってきました。このアルバムは2ndアルバムとほぼ同時期に出されたミニアルバムで、最もガレージロック感が強いように思ったので、選出させてもらいました。
このアルバムは音がいいですね。音がいい、というのは音質がいいという意味ではなく、むしろ逆で、非常にガシャガシャとした粗い音が魅力的、という意味です。あとは、ヴォーカルの志磨遼平の声が非常に特徴的で面白いです。彼は現在ドレスコーズという名前でソロ・プロジェクトを実行していますが、この時のようなガレージ感の強い曲が一番彼の声にマッチしていると思います(あくまで個人の見解です)。
加えて、「やさしさ」を感じられるのが一番いい点ですね。粗さの中、辛さの中にある「やさしさ」、そういった雰囲気が初期の毛皮のマリーズにはあります。優美な分かりやすい「優しさ」ではなく、「やさしさ」がそこにはあります。これは感覚の問題なのでぜひ聞いてみてほしいです。
〈16〉Consolers of the Lonely(2008)- The Raconteurs
1. Consolers of the Lonely(3:25)
2. Salute Your Solution(3:00)
3. You Don't Understand Me(4:54)
4. Old Enough(3:57)
5. The Switch and the Spur(4:26)
6. Hold Up(3:26)
7. Top Yourself(4:26)
8. Many Shades of Black(4:25)
9. Five on the Five(3:32)
10. Attention(3:41)
11. Pull This Blanket Off(1:59)
12. Rich Kid Blues(4:34)
13. These Stones Will Shout(3:53)
14. Carolina Drama(5:55)
※赤字はおすすめ曲
いよいよ最後です。最後はアメリカのロックバンド、The Raconteursです。The Raconteursは元The White Stripesのジャック・ホワイトが中心となったバンドで、彼の言葉を借りれば「旧友たちとの、新しいバンド」です。The White Stripesはミニマルな構成でローファイな点が大きな特徴ですが、The Raconteursはむしろ逆で、大規模な構成でややハイファイよりです。それでも、古き良きブルースの香りが漂っている点は素晴らしい。ジャック・ホワイトの作曲能力に懐疑的な人たちが一部いましたが、このバンドにより、ジャック・ホワイトが特定の方法論に縛られた存在ではないということが証明されましたね。
The Raconteursの特徴はいろいろなメンバーが一曲の中で歌い継いでいく点ですかね。また、The Raconteursにはキーボードメンバーもおり、それ以外にもバイオリンを使うなど、様々なギター系以外の楽器を使っている点もリバイバルの中では特徴的です。4曲目の"Old Enough"とかその特徴がよく表れています。曲の展開もプログレかと思うくらい予想できない曲もあります。5曲目の"The Switch and the Spur"はまさにそういった曲ですね。これらの特徴にもかかわらず、ブルース色を失っていないのは驚きですね。発展性を持った古き良きブルース、それがThe Raconteursの魅力です。
以上、16枚のガレージロック・リバイバル、ポストパンク・リバイバルの名盤でした。まとめると以下の11枚が、一般的にリバイバルバンドといわれるアーティストの作品の中で、私が名盤と思うアルバムです。
〈1〉Is This It(2001)- The Strokes
〈2〉Elephant(2003)- The White Stripes
〈3〉De Stijl(2000)- The White Stripes
〈4〉Whatever People Say I Am, That's What I'm Not(2006)- Arctic Monkeys
〈5〉AM(2013)- Arctic Monkeys
〈6〉Franz Ferdinand(2004)- Franz Ferdinand
〈7〉Up the Bracket(2002)- The Libertines
〈8〉Highly Evolved(2002)- The Vines
〈9〉Veni Vidi Vicious(2000)- The Hives
〈10〉Tyrannosaurus Hives(2004)- The Hives
〈11〉Bring 'Em In(2002)- Mando Diao
そして以下が、一般的にはリバイバルとはくくられないものの、リバイバルと考えてよさそうだと私が考えた名盤です。
〈12〉Leave Me Alone(2016)- HINDS
〈13〉Songs of Innocence & Experience(2019)- DYGL
〈14〉50回転ズのギャー‼(2006)- ザ50回転ズ
〈15〉Faust C.D.(2008)- 毛皮のマリーズ
〈16〉Consolers of the Lonely(2008)- The Raconteurs
以上です。ぜひ聴いてみて、シンプルでカッコよいリバイバルの世界を体感してみてください。今はやっているインディーロックやEDMとは違ったよさを体感できると思います!
またいろいろな紹介記事や考察記事を書いていきたいと思っているので、ご支援のほどよろしくお願い致します!
それでは